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名古屋地方裁判所 昭和52年(わ)1589号 判決

所在地

愛知県稲沢市六角堂町五五七番地

名称

株式会社マヒナ

代表者の住居

名古屋市端穂区陽明町一丁目九番地

代表者の氏名

木村多喜雄

所在地

名古屋市端穂区端穂通五丁目一九番一三号

名称

マヒナ商事株式会社

代表者の住居

名古屋市端穂区陽明町一丁目九番地

代表者の氏名

木村玲子

本籍

名古屋市端穂区陽明町一丁目九番地

住居

右同

会社役員

木村多喜雄

昭和一〇年四月九日生

右各被告会社及び被告人に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岩田一出席のうえ審理をとげ、次のように判決する。

主文

被告会社株式会社マヒナを罰金一、〇〇〇万円に、同マヒナ商事株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人木村多喜雄を懲役一年六月に対し、それぞれ処する。

被告人木村多喜雄に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、全部被告各会社及び被告人木村多喜雄の連帯負担とする。

理由

(罪となる事実)

第一、被告会社株式会社マヒナは、愛知県稲沢市六角堂町五五七番地に本店を置き、地球儀製造販売を営む会社であり、被告人木村多喜雄は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人木村多喜雄は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一、昭和四八年九月一日から昭和四九年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が、四、八八四万五、三七九円で、これに対する法人税額が一、八二七万三、七〇〇円であるのにかかわらず、架空の売上値引・給料及び支払手数料等の経費を計上し、期末の材料仕掛品及び製品たな卸を除外するなどして被告人木村多喜雄及びその家族名義で預貯金するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和四九年一〇月三一日愛知県一宮市栄四丁目五番七号所在一宮税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六九九万八、五八二円で、これに対する法人税額が一六二万三、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一、六六五万〇、七〇〇円を免れた。

二、昭和四九年九月一日から昭和五〇年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が五、五〇六六万九、七八一円で、これに対する法人税額が二、〇五九万四、九〇〇円であるのにかかわらず、架空の売上値引・材料仕入・給料及び旅費交通費等の経費を計上するなどして貸付金を計上せず、かつ架空名義で預貯金するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五〇年一〇月三一日、前記一宮税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、二二九万五、〇二〇円で、これに対する法人税額が三五三万八、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一、七〇五万六、五〇〇円を免れた。

三、昭和五〇年九月一日から昭和五一年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が六、〇九八万一、八二〇円で、これに対する法人税額が二、二九七万三、四〇〇円であるのにかかわらず、架空の売上値引・給料及び旅費交通費等の経費を計上し、期末製品のたな卸を除外するなどして貸付金を計上せず、かつ被告人木村多喜雄及びその家族名義で預貯金するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五一年一一月一日、前記一宮税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、九九〇万九、六四六円で、これに対する法人税額が六五七万三、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一、六四〇万〇、四〇〇円を免れた。

第二、被告会社マヒナ商事株式会社は、昭和四九年一月二五日設立し名古屋市中区栄五丁目一九番一五号に本店を置き、同五二年一〇月一一日同市端穂区端穂通五丁目一九番一三号に本店を移転して地球儀販売を営む会社であり、被告人木村多喜雄は、同会社の取締役であり実質的に同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人木村多喜雄は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、

一、昭和四九年一月二五日から昭和四九年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が二、〇五九万七、一八三円で、これに対する法人税額が七四八万四、九〇〇円であるのにかかわらず、商品仕入の返品を除外し、旅費交通費等の経費を水増し計上するなどして被告人木村多喜雄及びその家族名義の預貯金にするなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和四九年一一月三〇日、名古屋市中区三の丸三丁目三番二号所在名古屋中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五五四万〇、三九六円で、これに対する法人税額が一五三万三、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額五九五万一、五〇〇円を免れた。

二、昭和四九年一〇月一日から昭和五〇年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が二、〇七九万八、七二九円で、これに対する法人税額が七二四万七、六〇〇円であるのにかかわらず、架空仕入を計上し、地代家賃及び旅費交通費等の経費を水増し計上するなどして被告人木村多喜雄及びその家族名義で預貯金するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五〇年一一月二九日、前記名古屋中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九一一万四、九一九円で、これに対する法人税額が二六〇万八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四六三万九、一〇〇円を免れた。

三、昭和五〇年一〇月一日から昭和五一年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が二、七三一万五、七一四円で、これに対する法人税額が九五九万九、六〇〇円であるのにかかわらず、架空の期首たな卸を計上し、給料及び旅費交通費等の経費を水増し計上するなどして被告人木村多喜雄及びその家族名義で預貯金するなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和五一年一一月三〇日、前記名古屋中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、五二五万九、三四七円で、これに対する法人税額が四八〇万一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四七九万八、一〇〇円を免れた。

(証拠の標目)

右の事実は

(1)  被告人兼被告会社株式会社マヒナ代表者木村多喜雄及び被告会社マヒナ商事株式会社代表者木村玲子の当公判定における各供述

(2)  被告人木村多喜雄の検察官(四通)及び大蔵事務官(一三通)に対する各供述調書

(3)  被告人木村多喜雄作成の上申書一〇通

(4)  証人鬼頭八郎及び同鶴見一夫の当公判廷における各供述

(5)  木村玲子、高木唯男及び三宅照の検察官に対する各供述書

(6)  木村玲子(二通)、高木唯男、吉村英夫(二通)及び三宅勝の大蔵事務官に対する各係述調書

(7)  脱税額計算書六通及び同説明資料二通

(8)  名古屋中税務署長作成の証明書三通及び一宮税務署長作成の証明書三通

(9)  登記簿謄本二通

を綜合して認める。

(法令の適用)

各被告会社及び被告人木村多喜雄の判示各所為は、法人税法第一五九条、第一六四条第一項に各該当するところ、被告人木村多喜雄につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は、刑法第四五条前段の併合罪であるから、各被告会社につき同法第四八条第二項により各罪所定罰金額の合算額の範囲内で被告会社株式会社マヒナを罰金一、〇〇〇万円に、同マヒナ商事株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人木村多喜雄につき同法第四七条、第一〇条により犯情の最も重い判示第一の二の罪の刑に所定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役一年六月にそれぞれ処することとし、なお、被告人木村多喜雄に対しては、諸般の情状を考慮し同法第二五条第一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条により被告各会社及び被告人に連帯して負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 橋本享典)

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